糖尿病で喉が渇く原因
血糖値とは、血中のブドウ糖の濃度のことを指します。血糖値が高いと、血液はいわゆる「ドロドロ」の状態になります。そして、血管が硬く脆くなる動脈硬化と相まって、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。血液がドロドロになり、脳梗塞・心筋梗塞のリスクが高まると、私たちの身体はこれを「危険な状態」と判断します。そして血液を少しでもサラサラにするため、「水分を摂って!」と指令を出します。
「糖尿病の人は喉が渇く・よく水を飲む」というのはよく知られた話ですが、実は脳梗塞や心筋梗塞から命を守るために生じている防御反応なのです。
喉の渇き・多飲は「黄色信号」
なお、喉の渇きや多飲は、糖尿病がある程度進行し、合併症のリスクが高くなってから出現する症状です。このような症状に気づいたり人から指摘された場合には、できるだけ早く当院にご相談ください。
糖尿病以外に考えられる病気
発熱
細菌、ウイルスへの感染を主な原因として起こる症状のうちの1つです。
喉の渇き以外にも、頭痛、寒気、食欲不振、下痢などの症状を伴います。
脱水症
水分摂取量の不足、多量の発汗、高温、下痢・嘔吐などの要因が重なるなどして、体内の水分が不足している状態です。
喉の渇きの他、立ちくらみ、血圧低下、口腔の乾燥、力が入らないといった症状を伴います。
自分で水を飲めないほどに意識が低下している、ぐったりしている場合には、速やかに医療機関を受診してください。
副甲状腺機能亢進症
副甲状腺に腺腫・がんなどの腫瘍が形成されることで、副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、尿路結石、骨粗しょう症、高カルシウム血症などを引き起こすことのある病気です。
このうち、高カルシウム血症を発症した場合には、喉の渇き、疲労感、頭痛、吐き気、胸やけなどの症状が見られます。
更年期障害
45~55歳頃の更年期に心身のさまざまな不調が起こり、日常生活に支障をきたしている状態です。特に女性は閉経を境にエストロゲンの分泌が急激に低下することで、更年期障害を起こしやすくなります。喉の渇きの他、のぼせや顔の火照り(ホットフラッシュ)、頻脈、動悸、息切れ、発見、耳鳴り、頭痛、イライラ、不安感、うつ症状、不眠などさまざまな症状が見られます。
シェーグレン症候群
唾液や涙をつくる組織で炎症が起こることで、ドライマウス、ドライアイなどの症状が出現し、これに喉の渇きを伴うことがあります。
本来は身体を守ってくれるはずの「免疫」に異常が起こり、自身の組織を攻撃してしまう自己免疫の異常が原因の1つに挙げられます。その他、遺伝、細菌・ウイルス感染、女性ホルモンの異常なども原因になります。中年以降、特に50代の女性の発症が目立ちます。
尿崩症
ホルモンの分泌異常によって、過剰な量の排尿が認められる病気です。排尿が多くなることで、喉の渇きを感じます。水分摂取が追い付かないと脱水症に至ることもあり、すると吐き気や血圧低下、頻脈といった症状も出現します。遺伝子異常、腎疾患を原因とする「腎性尿崩症」、外傷、脳腫瘍などを原因とする「中枢性尿崩症」に分けられます
薬の副作用
高血圧の薬、抗アレルギー薬、胃薬などの副作用で喉の渇きを感じることがあります。これ以外にもさまざまな薬が原因となることがあるため、ご来院の際にはお薬手帳、または現在服用中のお薬をお持ちください。
まずはご相談ください
喉の渇きを感じたときには、なるべくジュースなどは避け、水・お茶などを飲んでください。それでもすぐに喉が渇くという状態が続く場合には、糖尿病などの病気の可能性を考慮し、当院にご相談ください。普段何をどれくらい飲んでいるか、喉の渇き以外の症状の有無など、診断のための大切な情報となりますので、医師にお伝えください。