こんな症状は逆流性食道炎かもしれません
胸やけ(胸のあたりの焼けつくような痛み)や呑酸(どんさん:酸っぱい液体があがってくる感じ)がある場合は、逆流性食道炎の可能性があります。この2つの症状は逆流性食道炎の主症状です。
胸やけや呑酸を繰り返していると、食道の粘膜の炎症によってのどの痛み、声が枯れる、咳、のどにしこりがある感覚、などを引き起こすことがあります。また、逆流した胃の内容物が気道に入りこんでしまうことによって、慢性的な咳や喘鳴(ぜいめい:息をするたびに、ヒューヒュー、ゼーゼーと音がする)などを引き起こすことがあります。こうした症状が続くと、睡眠障害などを生じることもあります。長期間にわたって胸やけが続いていると、嚥下困難感が出てきます。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸が逆流していくことによって食道に炎症をきたす病気のことを言います。胃と食道の間にはつなぎ目があり、通常はここで胃酸が逆流することを防いでくれています。何らかの原因により、このつなぎ目から胃の内容物が逆流してくることがあります。健康な人でも食後に胃酸が逆流することがありますが、その時間は1日のうち4%以下とされているため、食道の内側に損傷を起こすようなことはありません。
逆流性食道炎の場合、食後2~3時間逆流が起こり、逆流した胃酸が停滞すると考えられています。食道は胃と違い、胃酸に耐えられる粘膜ではないため、胃酸を1日に何回も浴び続けることで、炎症が起こってしまうのです。逆流性食道炎はすぐに命にかかわる病気ではありませんが、日常生活の質(QOL)が維持できなくなることがあります。
逆流性食道炎の原因
胃酸が食道に逆流する原因としては、蠕動運動(ぜんどううんどう:食物や水分を食道から胃へ送るはたらき)に問題が生じていることが考えられます。健康な人の場合、胃酸が逆流しても蠕動運動によってすぐに胃へと戻っていきます。この蠕動運動に問題が起こっているため、胃酸が食道に溜まってしまうことが考えられます。
他にも、胃と食道のつなぎ目が上にせり上がってしまう「食道裂孔ヘルニア」がある場合、逆流防止のはたらきが弱まってしまいます。すると、胃酸が食道に逆流しやすくなるだけでなく、食道に長時間にわたってとどまってしまうのです。
また、胃酸の分泌量を増加することも逆流性食道炎の原因となります。胃酸の分泌量を増加する原因は食生活と考えられています。例えば、欧米型の食生活や就寝前の食事、暴飲暴食、アルコールやチョコレート、コーヒーの摂りすぎなどです。これに加えて喫煙も原因になると考えられています。 <逆流性食道炎の種類> 逆流性食道炎には3つのタイプがあります。 ①食道炎がなく自覚症状のみがあるタイプ ②食道炎があり自覚症状もあるタイプ ③自覚症状がなく食道炎のみがあるタイプ <逆流性食道炎の統計> 内視鏡検査を受けた人の中での逆流性食道炎の有病率(その時点で病気を有している人の割合)は年々増加しており、1980年代には1.6%程度であった有病率が2000年代には13.1%にまで増加しています。有病率が増加している原因として胃酸分泌能の増加や、ヘリコバクターピロリ菌の除菌率の普及によるヘリコバクターピロリ菌感染率の減少等が考えられています。
逆流性食道炎の種類
逆流性食道炎には3つのタイプがあります。
- 食道炎がなく自覚症状のみがあるタイプ
- 食道炎があり自覚症状もあるタイプ
- 自覚症状がなく食道炎のみがあるタイプ
逆流性食道炎の統計
内視鏡検査を受けた人の中での逆流性食道炎の有病率(その時点で病気を有している人の割合)は年々増加しており、1980年代には1.6%程度であった有病率が2000年代には13.1%にまで増加しています。有病率が増加している原因として胃酸分泌能の増加や、ヘリコバクターピロリ菌の除菌率の普及によるヘリコバクターピロリ菌感染率の減少等が考えられています。
逆流性食道炎の検査と治療
逆流性食道炎の検査
逆流性食道炎の診断には自覚症状の問診と、上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査を行います。胃カメラで炎症所見が認められれば逆流性食道炎と診断されます。中には、自覚症状がないものの胃カメラで炎症所見が認められて、逆流性食道炎が見つかる場合もあります。
逆流性食道炎の治療
逆流性食道炎の治療は、お薬による治療が中心となります。胃酸の分泌を抑える薬が主に使用され、8週間ほど服用することで改善に向います。
他にも症状が出現した時に使える薬として、酸を中和したり、酸による刺激を弱めたりする薬があります。
これらの薬を使っても思うような効果がみられない場合には、消化管の運動を改善する薬を一緒に使うこともあります